行政主導でキャッシュレスを推進|木更津市「アクアコイン」独占インタビュー

今回のChainAge編集部のインタビュー企画は、千葉県木更津市の地域通貨「アクアコイン」です。

行政主導のキャッシュレス事業ということで、飛騨市の「さるぼぼコイン」等と同様に話題を呼んでいる地域通貨です。

木更津駅

編集部員3名が木更津市役所を訪問し、担当者の方に地域通貨導入の経緯や今後の展望についてインタビューして参りました!

木更津市の地域通貨「アクアコイン」とは?

ーー地域通貨「アクアコイン」はどういった取組なのでしょうか?

キャッシュレスを地域の中で推進することと、地域経済・地域コミュニティの活性化を目的とした、地域通貨事業です。

「電子」と「地域通貨」という部分をスマートフォンという媒体を使って普及させていくことが、取組の概要です。

行政主導のキャッシュレス事業は、地元事業者にメリットがある

消費の囲い込みで、地域経済を活性化

ーーアクアコインの導入にはどういったメリットがあるのでしょうか?

一番大きいのは、地域の事業者の方々のメリットです。

アクアコインに変換されたお金は地域外への流出を防ぐことができますので、必然的に地域内での消費や経済循環を促進することができます。

行政主導でキャッシュレスを推進するメリット

ーーキャッシュレスに関する取組は現在様々なところで行われていますが、それを行政が自ら行うことにはどんなメリットがあるのでしょうか?

地域の中小企業が抱える問題として、「クレジットカード決済の導入が進んでいない」という問題があります。

クレジットカード決済は、手数料や設備の導入など、店舗側の経済的負担が大きいため、地域の小さなお店だと導入できないことが多いんです。

その点、アクアコインは設備投資は不要ですし、クレジットカードのように手数料もかからないため、メリットが大きいと考えています。

アクアコインのシステムには「さるぼぼコイン」と同じものを使用

ーーアクアコインの導入にあたってのシステム開発等はどのように行われたのでしょうか?

システムは、岐阜県飛騨市の地域通貨「さるぼぼコイン」と同じフィノバレー社の「Money Easy」というシステムを使わせてもらっています。

また、システム整備やコインの発行などの手続きは、君津信用組合さんにやっていただきました。

ーーなるほど。さるぼぼコインと同じシステムを採用したのにはどういった経緯があるのでしょうか?

当初私共が地域通貨導入の検討を始め、プロジェクトチームを作ったのが2017年の10月くらいでした。

その頃にはもう飛騨の方では実証実験が終わっていて、安定したシステムであることが分かっていたことが大きかったです。

実際に導入してみての感触・市民の声

ーー実際に「アクアコイン」を導入してみて、現在のところの感触を教えてください。

現在導入してから約4,5ヶ月ですが、アプリのダウンロード数は6500件を超えていますし、店舗の加盟数も430店舗を超えていますので、まずまずのスタートかなと思っています。

2019年3月21日現在)

ーー実際にアクアコインを利用した地域の事業者の方や市民の方々の反応はどうでしょうか?

大変ありがたいとのお声を多数頂いています。

今は特に5%ポイント還元キャンペーンをやっていますので、事業者の方々には「新規のお客さんが増えた」「売上が増えた」というような声をいただきました。

※5%ポイント還元キャンペーン
アクアコインで支払った金額のうち、5%が還元されるキャンペーン。3月22日で終了済み。

一般ユーザーの市民の方々からも、「簡単に使えて便利」「財布を持たなくていいので楽」というような声をいただいています。

ーー 一般ユーザーに絞ると、どの年代層によく使われているのでしょうか?

アクアコインでは登録時にメールアドレス以外の情報を取得していませんので、詳しい分析は行えていません。

ただ、感覚的には30代・40代の方々が中心かと思います。

特に主婦の方々は、日常的にポイントカードを使われることも多いですから、そういった意味で抵抗なく使っていただけているのかなと思っています。

ただ、その反面、学生など若者層に関してはまだまだ利用が少ないのかなと思います。

若者層へのPRが課題

アクアコインのPRのために市内に設置されたのぼり

 

ーー若者層の利用、ですか。具体的にどういった要因があると考えていますか?

アクアコインの取組に限らず、行政の取組は若者層へのPRに課題があります。

ですから、今後は高校・大学等と連携しながら若者へのPR活動を勧めていく予定です。

ーー具体的にはどのような活動をされる予定ですか?

実際に高校・大学へ出向いて説明を行ったりする予定です。

まずは先生達にアクアコインを知っていただきたいので、先生方を対象とした説明会等を行う予定です。

あとは、各学校の学食の業者と連携して、学食でアクアコイン決済をできるようにするなどですね。

木更津には多くの学生がいますので、そういったところから地道に活動を続けていくことで、普及は確実に進んでいくと考えています。

今後は3つのステップでアクアコインの普及を推進

ーーアクアコインの今後の展望を教えてください。

今後は、3つのステップでアクアコインの普及推進活動を行っていきます。

第1ステップ:国の政策を活用した普及促進

10月から国のキャッシュレス決済へのポイント還元事業が始まるのですが、それを活用してPRを進めていこうと考えています。

※キャッシュレス決済へのポイント還元事業
2019年10月以降、キャッシュレス決済で買い物をすると、消費者に一定割合のポイントが還元される制度。

また、同様に10月からプレミアム商品券事業が始まりますが、それに関しても配布をアクアコインで行う予定で、すでに国から内諾をもらっています。

※プレミアム商品券
国が財源を出し、地方自治体が発行する商品券。住民税の非課税世帯や2歳以下の子供がいる家庭が対象。

紙のお金ですとお釣りがこない等のデメリットがある反面、電子的に行ってしまえばそのようなことはありませんから、この機会を利用してアクアコインユーザーの増加を図っていきたいと考えています。

第2ステップ:行政ポイントの付与

第2ステップでは、市民の活動に対してアクアコインを通じてポイントを付与する取組を行っていく予定です。

具体的には、市の主催イベントに参加してくださった方やボランティアに協力してくださった方々などにポイントを付与する予定です。

第3ステップ:アクアコインによる公金受け入れ

そして第3ステップでは、住民票発行時の手数料をアクアコインで支払えるようにするなど、公金をアクアコインで支払えるような取組を行っていきます。

また、少し先の話としては、市職員の給与の一部をアクアコインで支払うようなことも検討しています。

地域通貨の導入・普及には「覚悟」が必要

ーーアクアコインのように、地域通貨の導入を考えている自治体は多くあるかと思いますが、地域通貨の導入・普及に一番必要なものは何であると考えていらっしゃいますか?

そうですね、「覚悟」が一番必要だと思います。

ーー覚悟、ですか。詳しく聞かせてください。

民間の事業者が多数キャッシュレス事業を行っている中で、行政がそれをやるハードルはかなり高いです。

それを考えると、中途半端な気持ちではやっていけませんから、「これを必ず地域のインフラにするんだ」というような強い覚悟が必要であると考えています。

さらに具体的に言えば、市職員への給与支払いをアクアコインで行うだとか、工事委託業者への支払いをアクアコインで行うなど、普通だったら一歩引いてしまうようなところまで踏み込んでいくような、そんな覚悟が必要だと思います。

ーー今後のアクアコインの発展をお祈りしています!


関連記事:
【現地レポート】木更津市の地域通貨「アクアコイン」を実際に使ってみた

https://www.chainage.jp/aquacoin-report.html

木更津市公式ホームページ
https://www.city.kisarazu.lg.jp/index.html

アクアコインの公式ページ
https://www.kisarazu-aquacoin.com/

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