企業のコラボレーションでブロックチェーンを社会実装|BINARYSTAR池上氏に独占インタビュー

「現在のブロックチェーン業界は、業界構造そのものに大きな問題があるんです」
そう語るのは、23歳の若さでバイナリースター社を率いる池上雄飛氏。

今回、ChainAge編集部がお届けするインタビュー企画は、ブロックチェーンのコワーキング事業やコンサルティング事業を展開するBINARYSTAR(バイナリースター)株式会社です。

最近オープンしたばかりのビジネスハブ「BINARYSTAR」で、創業者の池上雄飛氏に独占取材を行ってまいりました。

【池上雄飛(いけがみ・ゆうひ)】BINARYSTAR株式会社の創業者。18歳から現在に至るまで複数の暗号資産/ブロックチェーン関連のベンチャー企業でシステム開発や新規事業開発におけるプロジェクトマネジメント、著名大学の学生に向けたブロックチェーン講座の講師を担当。

事業内容について

先日オープンしたばかりの話題のビジネスハブ「BINARYSTAR」

ーー御社の事業内容を教えてください。

弊社では、ブロックチェーンの社会実装を進めるための事業を行っています。

まず、BINARYSTARのセミナーやイベントを通じて、ブロックチェーンへの理解を深めていただきます。

海外の最先端事例を取り上げ、どういった領域でどのような効果が出ているのかをしていいただく機会を提供する「月例セミナー」を毎月開催しています。

さらに希望者には、弊社顧問の赤羽及び弁護士の井垣による、ブロックチェーン活用のノウハウから最適な導入領域の選定を行う「ラウンドテーブル」を行います。

こちらは単純に知識の共有だけでなく、ブロックチェーン事業推進上のスキル強化や、ブロックチェーン導入のステップを分解して一つずつ解説していきます。

ブロックチェーン関連で困ったら、「BINARYSTARに行けば何とかなる」、といった存在になっていくことを目標にしています。

ブロックチェーンの社会実装は「信用」を不要にする

ーー御社について調べると各所で「ブロックチェーンの社会実装」という言葉がみられますが、実際にブロックチェーンの社会実装が進むと、この社会はどのように変わっていくと考えていますか?

一番重要な変化としては、「信用が必要ない社会に突入する」ということです。

裏を返せば、今の社会は、「信用」が必要であることによって膨大な時間とコストがかかっていると思っています。

ーー信用がなくなる、ですか。具体的にどのような変化が起こるのでしょうか?

不動産業界の保証会社を例にとってみるとわかりやすいです。

基本的に不動産会社は、不動産を借りたい人を「信用」できないですよね。

信用するに十分な情報を持っていないので、「この人は家賃を払ってくれるのだろうか?」など心配が尽きないわけですし、不動産会社としてはそのリスクをとれないわけです。

そこで、保証会社という第三者を間に挟むことで「信用」を担保してもらっているんです。

この構造は、保証会社の審査に時間がかかるし、そもそも保証会社の運営にかかる費用が必要だし、というようにかなりの時間とお金が必要になります。

ーー「信用」のためにかなりのコストがかかる、ということですね。

はい。

ですが、この保証会社を介した「信用」のプロセスをブロックチェーンに置き換えることができれば、どの事業者もブロックチェーンで串刺しにされた顧客情報を通じて、審査を自動かつ一瞬で終わらせることができると思います。

究極的には「不動産をみて、すぐ入居」ということが可能な社会になるのではないかと思います。

 

これは他の色々な業界に関しても言えることで、「信用」に関わるプロセスをブロックチェーンに置き換えてしまうことによって、膨大なコストを削減することができるんです。

ーーなるほど。それこそが「信用が必要ない社会」なんですね。

ただ、ブロックチェーン自体は素晴らしい技術なのですが、その社会実装にあたって、様々な問題があるのも事実です。

今のブロックチェーン業界では、効率的な開発・コラボレーションができない

ーー問題、と言いますと…?

これは僕がこの会社を立ち上げた動機の一つでもあるのですが、ブロックチェーン業界って素晴らしい事業や企業が多数あるのにもかかわらず、それらがコラボレーションするための風土ができていないんです。

「誰が何をやっているか」がわからない

普通の業界であれば、当然競合他社の情報は持っていますし、場合によっては共同開発やコラボレーションなんてこともありますよね。

しかし、ブロックチェーン業界では、実はお互いのことをよく知らないがために、コラボレーション等が非常に行いにくいんです。

ーーそれだと結構な無駄が生じてしまいそうですね。

A社があるブロックチェーンを実装しているのに、それを知らないB社が再実装している、みたいなことが日常茶飯事ですね。

同業者をよく知らないがゆえに、効率的な開発やコラボレーションができずに無駄が生じてしまっています。

「ここに来ればわかる」場所を作る

ーーそういった無駄を解決するには、どういった解決方法が考えられますか?

はい。それがまさに今私達が行っていることですが、全てのプレイヤーが集まる場所を作ることです。

「ここに来れば、どういうブロックチェーンがあるのかわかる」という場所を作ることができれば、同じようなブロックチェーンが再実装されてしまうような無駄をなくせます。

また、技術を求めている事業会社がその場所を訪問することで、ニーズにマッチする開発会社とのコラボレーションが生まれることもありえます。

ーーなるほど。このビジネスハブはまさに業界課題の解決策そのものというわけなんですね。

はい。それらの効率化やコラボレーションがうまくいくことで、ブロックチェーンによるイノベーションと社会実装を加速させることができると考えています。

ブロックチェーンの社会実装には、「大企業×ベンチャー」での協力が不可欠

ーー続いて、企業同士のコラボレーションの話について詳しくお聞きしたいと思います。
バイナリースターさんは各所で「大企業とベンチャー企業のコラボレーションが重要」と述べられていますよね。

はい、その通りです。

ブロックチェーン技術を持つ企業と手を組まなければ、日本におけるブロックチェーンの社会実装は非常に出遅れるのではないかと思っています。

ーー実際のブロックチェーン技術を持つベンチャー企業が努力するのは当然のこととして、なぜ大企業の協力が必要なのでしょうか?

ベンチャー企業がどんなに素晴らしい技術を持っていたとしても、日本のインフラを支えている大企業の協力が無ければ、ブロックチェーンが社会実装して恩恵を受ける日は遠いと思っています。

すなわち、大企業をいかにうまく巻き込んでいくかが、日本のブロックチェーンビジネスチャンスの鍵になってくると思います。

ーーなるほど。ただ、大企業とベンチャー企業とでは何かとカルチャーも考え方も違うので、やりにくいことも多いのではないでしょうか。

その通りだと思います。

同じ空間で仕事をすることで、お互いの強みや特徴が理解できてくると考えていますので、ブロックチェーンというテーマに絞った不特定多数の方が同じ空間で働くビジネスハブを設計しました。

「大企業×ベンチャー」のコラボレーションで大企業に必要な2つの意識

具体的には、この3つが非常に重要です。

  1. 海外のブロックチェーン導入事例とブロックチェーンベンチャー企業の情報を正確につかむこと
  2. ブロックチェーンビジネスの仕組みを早急に理解する

ーーぜひ詳しく教えてください。

1.海外のブロックチェーン導入事例とブロックチェーンベンチャー企業の情報を正確につかむこと

海外では実証実験段階ではなくブロックチェーンを活用したサービスがロンチされています。

同業界での導入事例をいち早くキャッチし、どのベンチャー企業と組んだら成功する可能性が高まるのかを複数把握することが必要だと思います。

2.ブロックチェーンビジネスの仕組みを早急に理解する

ブロックチェーンの性質上、国境を越えてサービスが進出してきます。

大企業の規模や歴史、社員数が必ずしも活用できず、先にプラットフォームを作ってユーザーを獲得した企業が戦いを有利に進め、市場を総取りする可能性があります。

このブロックチェーンの特性を把握し、臨戦態勢を整えることが必要だと思います。

ビジネスハブのオープンから一ヶ月を経て

ーー今回取材を行わせて頂いてるこのビジネスハブがオープンしたのは、つい最近のことですよね。

約一ヶ月前のことですね。

オープンに際して支えてくださった方々には、お礼を申しあげたいです。

ーー実際に一ヶ月が経ってみて、率直にどんな感触でしょうか?

オープンしてから、オープニングセミナーや月例セミナー等のイベントを行いましたが、それらを通して、様々なことを感じました。

一番強く感じたのは、「ついに日本にもブロックチェーンが来たな」ということです。

元々僕がブロックチェーンに興味を持ち始めた頃は、ブロックチェーンは「エンジニアが楽しくやってるプログラム」みたいなイメージが強く、一般への浸透はかなり程遠く感じられたのを覚えています。

しかし、この一ヶ月の間で開いたイベントの参加者は、そのほとんどが大企業をはじめ伝統的なビジネスをされている方々でした。

ーーそれはすごいですね。普通ブロックチェーンのイベントといったら、エンジニアや仮想通貨投資目的の個人で席が埋まりそうなものですが…。

僕達は、先程も申しあげたとおり「ブロックチェーンの社会実装には大企業の協力が不可欠」だと考えていますから、その意味で伝統的なビジネスをされている方々が興味関心をもってくださったのは、非常に嬉しかったですね。

ただ、だからといってすぐに大企業がブロックチェーン技術を導入できる環境が整ったかと言ったら、そういうわけではありません。

ーーと言いますと?

現在私達のイベントに参加してくださっている大企業を含めた伝統的なビジネスをされている方々はアーリー・アダプターで、かなり先を見ている一部の方々が興味を持ってくださっているに過ぎないと思っています。

これからその方々を通じて、それぞれの企業の中にどうやってブロックチェーンを染み込ませていくか、という戦略がこれから非常に重要なんだと思います。

バイナリースター社の今後

ーー御社の今後の事業展望についてお聞かせください。

しばらくは大企業に対してのアプローチにフォーカスしていきます。

当面はブロックチェーンに関する全てのプレーヤーを集めること

ブロックチェーンの社会実装に必要な側面を全てBINARYSTARに集約させることが喫緊の課題です。

技術だけでなく、新規事業設計にかかわる法律的な見解や、事業スケール時の資金調達支援をするベンチャーキャピタルなど。

BINARYSTARがブロックチェーンの社会実装させるエコシステムになるべく事業展開していきます。

ーー具体的には、どのようなことを行っていく予定でしょうか?

大企業からベンチャー企業を含めた、様々な方に集まっていただき、ブロックチェーンを活用したビジネスプランを作成していただきます。

必要があれば、専門家の派遣や社内稟議を通すためのコンサルティングまで行う、というものです。

ーー社内稟議を通すためのサポートまで行うとは、画期的ですね。

3年後、バイナリスターはエコシステムに。そして、「場」になる

長期的な話でいうと、3年後にはバイナリースターはエコシステムの育成にフォーカスします。

ファンドや、ブロックチェーン教育の仕組みの実装を通して、ブロックチェーン業界で持続的に成長していくためのシステムを作っていこうと思っています。

そして、バイナリースターは「場」になるのです。

ーー「場」、ですか。詳しく聞かせてください。

現状は日本にフォーカスして事業を進めているものの、今後は世界中に事業を展開していきます。

あらゆるブロックチェーン事業がバイナリースターを通して繋がり繁栄していく、そんな「場」になることを目指しています。


BINARYSTAR株式会社

http://binary-star.work/

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