イスラエル発の分散型取引所「Bancor(バンコール)」、日本で地域通貨発行へ|Galia Benartzi氏にインタビュー

2017年に160億円規模の大型ICOを行ったことでも注目されるBancor(バンコール)。Bancorネットワーク・トークン(BNT)の仮想通貨をベースに、イスラエル、アメリカ、ケニアに続き、日本での地域通貨の発行も視野に入れるなど、今後も一層目が離せません。

そこで、ChainAge編集部では、Bancor共同創設者のGalia Benartzi氏が来日するのに合わせてインタビューを実施。Bancorの目指すもの、ブロックチェーンを用いた地域通貨発行、日本に与えるインパクトなどについて伺いました。

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BancorとBancor Xについて

――まず、Bancorについて教えてください。

Bancorは、2017年6月に、Ethereum(イーサリアム)をベースとするBancorネットワーク・トークン(BNT)のICOを行い、1億5,300万ドル(約162億円)相当の資金調達を行いました。現在は、非中央集権型の自動流動化ネットワークの構築を進め、分散型取引所として、130種のトークンを扱い、これまでに15億ドル以上の取引が行われています。

 

――「Bancor X」とはどのようなプロジェクトですか?

Bancor Xは、複数のブロックチェーンを対象にした、初の自動流動化ネットワークです。EthereumからEos(イオス)トークンに自動で交換することが可能になりますが、これはBancor Xが初めてです。これまで、Tron(トロン)やMio(ミオ)など新しいブロックチェーンのエコシステムが登場してきましたが、Bancor Xの最終目標は、どのようなトークンも、自動的に、透明性を担保しながら、予測可能な方法で、あらゆる別のトークンに変換できるようにすることです。いわば、トークンエコシステムの橋渡しとなることですね。

ちなみに、「X」は「交差」を表しており、仮想通貨の交換ができるプラットフォームらしいネーミングだと思っています。読み方は、iPhoneのような「テン」ではなく、バンコール「エックス」ですよ(笑)。

地域通貨の発行で目指すもの

――これまでの地域通貨の発行状況について教えてください。

これまでに、アメリカとイスラエルで地域通貨を発行しており、信じられない程の成功を収めました。ひとつの問題は、コミュニティの外では通貨に価値がなく、別の通貨と取引できなかったことです。通常、取引するにはボリュームが必要ですが、多くのコミュニティは小さいのが現実です。

そこで、Bancorネットワークでは、大きな取引量や上場手数料、為替の不均衡などを伴わずに、どのような地域通貨でも取引することを可能にしました。

最初のパイロットプロジェクトは今年、ケニアで始まりました。コミュニティのリーダーが、地域通貨を管理できるようにし、首都ナイロビ以外のエリアにある6つのコミュニティで、それぞれに独自の地域通貨が誕生しました。

前述のように、あるコミュニティの地域通貨は、他の地域通貨とトレードが可能です。あるコミュニティで通貨を手に入れ、他のコミュニティの市場で買い物をすることができるようになりました。多くの人が参画することで、地域通貨はより多くの場所で使えるようになるのです。

そして、次のパイロットプロジェクトの計画は、日本です。いくつかの組織・団体と、どのように導入ができるか協議をしています。

今後10年で、世界中でコミュニティに所属する数億人が地域通貨を導入すると私は考えています。ブログ、動画プラットフォーム、音楽サービスのように、ロングテールのサービスの出現は非常に早いのです。通貨にも、驚異的な変化が訪れるでしょう。

今日、私たちは、信頼性があり、安全で、透明性のある通貨を、自ら発行できるようになりました。誰も使わなければ価値はありませんが、誰もが使うようになれば価値が生まれます。少なくとも挑戦することができるのです。まさに、誰もがYouTubeに動画をアップロードするようなものです。動画が良ければ見られます。良くなければ見られませんが、それは全く問題ありません(笑)。

Bancorのアイデアは、技術的な参入障壁を減らすことです。すべての人々がツールを使い、通貨を作り、通貨を使い、その上で、実際に何が望まれているかを理解することができます。

インターネットとブロックチェーンのインフラにより、加速度的に変化が起こっています。今後10年で、世界中に数十万の、多種多様な通貨が生まれ、まったく「通貨」の概念は、全く新しいものにになるでしょう。

 

――地域通貨は、コミュニティにどのようなインパクトがありますか?

地域通貨は、地域のためのものです。人々がより良い商品の取引ができ、より良い生活をコミュニティで送ることができれば、それが地域通貨によって創造された価値です。コミュニティの全ての人が、共に暮らすために必要な、衣食住、教育、娯楽を持っているような状態です。Bancorの流動化ネットワークによって、コミュニティは、コミュニティの中で価値を創造することができるようになります。

投資家は、より多くの地域通貨が生まれ、ネットワーク全体が成長することに関心を持ちますが、それぞれのコミュニティは、私たちが通常考える「利益」に必ずしも関心を持っているわけではありません。コミュニティの関心は、よい暮らし、幸せ、健康です。

地域通貨の価値が高くなればなるほど、より他の地域通貨との取引ができるようになります。従って、地域通貨への投資は、時間とエネルギーと資金を、コミュニティのより良い暮らしに投資することに他なりません。

流動化ネットワークへの投資は、コミュニティとそのメンバーのより良い暮らしを創造するモデルを成長させるための投資です。私たちが測るのは、コミュニティに属する、人々の状態です。人々は健康か。幸せか。平和か。クリエイティブか。これらを問わなければいけません。

これは通常とは異なる種類の投資です。より多くのお金を得るためにお金を投資する代わりに、私たちは、より多くの価値を得るために投資をします。とても興味深いと思いませんか?

 

――どのように地域通貨のネットワークを拡大させていくつもりですか?

地域通貨はコミュニティメンバーのものです。例えば、私がある地域に住んでいれば、自分の商品やサービスに対して地域通貨を受け入れるなどして貢献します。誰もが参加できるのです。

投資家は、準備金を預け、地域通貨を創造することができます。新しい通貨を創造し、ネットワークとつながり、コミュニティメンバーに新しい流動性をもたらします。

地域通貨は、人々がそれを使用する場合にのみ機能します。通貨は、使用する人がいる場合にのみ価値を持つからです。従って、全ての人に果たす役割があります。投資家は、最初の資金を預け入れ、地域通貨を開始する創造者です。地域社会で地域通貨が普及するかは、コミュニティーメンバーが地域通貨を受け入れるかどうかにかかっています。行政は、地域通貨の使い方、地域通貨で納税する方法などを人々に周知させる役割があります。

私たちは、よりオープンで、近代的な金融システムを作ることができる選択肢を、コミュニティに提供したいと思っています。既存の通貨で多くの資金を持たないコミュニティでも、より良い暮らしの実現に向けて、参加できるのです。

 

――投資家にとっての魅力は何でしょうか?

投資家は大きなリターンを期待することができます。それは、コミュニティが健全であることで、従来の金銭的な価値とは異なる、本当に意味のあるリターンです。

Bancorネットワークに参加するすべての通貨は、その通貨の小額と、小額のBancorネットワーク・トークン(BNT)を預け入れる必要があります。両方のデポジットを行うと、ゲートウェイは、その通貨を他の通貨と交換できるようにします。以降、BNTが購入される度に、BNTの価値が上昇します。世の中のあらゆる資産と同じように、購入する人が多いほど、価格が上がるのです。つまり、より多くのコミュニティがBancorネットワークに参加すると、Bancorネットワーク全体の価値が高まります。

従って、投資家は、ネットワークが成長して通貨がより価値あるものになること、及び、多くのコミュニティでより良い暮らしが実現されていくという両方の点で、投資対効果を期待できます。

多くのコミュニティで生活が向上し、より健康的になり、より多くの自由が得られ、より多く仕事、芸術、音楽などが手に入れられれば、私たち全てが利益を享受することになります。

日本での地域通貨発行

――日本を次の地域通貨を行う場所として選んだ理由は何でしょうか?

日本には非常に興味深いエコシステムがあります。

第一に、日本は地域通貨に関して長い歴史を持っています。過去数百年の間に、国内に何千種類もの地域通貨が存在しました。地域コミュニティが商売・貿易の舞台でした。

次に、日本はスマートフォンとインターネットに関して、非常に高いコネクティビティを誇ります。携帯電話とネットワークを利用して、誰もが地域通貨にアクセスできるインフラが整っています。

最後に、日本文化は、誠実なビジネス関係と、ローカルでの商取引を重視するように感じます。アマゾンで注文して玄関先で箱を受け取るというのでなく(笑)、知り合いの人と、地域の中で取引するように、実際のつながりを重視するように見受けられます。

地域通貨は、通貨を人々の手に渡すことで、コミュニティが、コミュニティに合う方法で設計できる、最適なエコシステムです。

教師をコミュニティの例に取ると、ある地域の先生方は、学生やその両親とのネットワークを持っており、このモデルに適したグループと言えます。農家の方々もまた別のコミュニティと言えるでしょう。様々なコミュニティグループが存在するため、様々な地域通貨の在り方が考えられます。

私自身、品質へのこだわりなど日本文化について多くを学んでいるところですが、本当にローカルなレベルでの取引を活性化する地域通貨も馴染むのではないかと考えています。

 

――最後に、読者や日本の人々に向けてメッセージがあればお願いします。

日本の方々は、これから起こること、すべきことを既に分かっているのではないかと思います。それは、公正、倫理的、健全な金融システムを構築することです。Bancor Xは、コミュニティの誰もが価値を創造することを可能にするインフラで、そのコミュニティにいる人々こそが、最も必要とされていることを知っていると考えています。

私たちは、地域通貨の発行は、正しいこと、するべきことだと信じていますし、日本の皆さんが私たちと一緒にこのプロジェクトを実現してくれることを願っています。

インタビュー当日、Galiaさん(中央)と

 


いかがでしたでしょうか?地域通貨発行というプロジェクトに、日本の地方自治体はどのような反応を見せるのでしょうか。今後ますます注目ですね!Galiaさんをはじめ、取材に協力していただいた皆様、大変にありがとうございました!

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