イーサリアムより速く、EOSより分散化!中国発の次世代ブロックチェーン「IOST(アイオーエスティー)」のテリーCTOに聞く

イーサリアムよりも400倍以上速く、EOSの10倍の分散化を実現――!次世代ブロックチェーン「IOST」のメインネットローンチが2月25日に迫りました。「FacabookやAmazonのような大規模オンラインサービスでさえもサクッと動かせるブロックチェーン」を謳うこのプラットフォーム。その実態はどうなっているのでしょうか。

ChainAge編集部では、ミートアップ参加のために来日したテリーCTOにコンタクト!IOSTの独自性や今後の展望について聞きました。

インタビュアー:MASAE

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Terrence (Terry) Wang
プリンストン大学院修士課程卒。専門はコンピュータ科学。卒業後、リサーチ・教員アシスタントとして在籍し、マイクロソフト、Uberのソフトウェアエンジニアを経て現職。28歳。

▼インタビュー項目一覧

  1. IOSTの概要について。
  2. どのような人たちが運営しているか。
  3. 開発で最も苦労したことは。
  4. 日本では精力的にミートアップを行っているが、日本の市場をどのように見ているか。
  5. 具体的にはどのように展開していくか。他プラットフォームとの差別化は。
  6. 中国の規制の現状について。
  7. この規制はいつまでも続くと考えるか。
  8. 2019年はブロックチェーンにとってどのような年になると考えるか。
  9. ブロックチェーンに関わる人材が増えていくということだが、中国ではどのように人材育成しているのか。
  10. ご自身はどうやってブロックチェーンを勉強したのか。
  11. 一般のユーザーにとってブロックチェーンはなかなか理解しにくい面もある。実感としてブロックチェーンの利便性を理解するには、どのぐらいの時間が必要と考えるか。
  12. 最後にメインネット公開に向けた決意を。

 

――IOSTの概要について。

 IOSTは少し特殊なパブリックブロックチェーンプロジェクトです。IOSTの最も大きな特徴は、EOSよりもさらに「非中央集権化」を実現し、イーサリアムよりさらにスケーラブルだという点です。

 「スケーラビリティトリレンマ」については周知のことであると思いますが、非中央集権化とスケーラビリティ、セキュリティを高度なレベルで実現することは非常に困難です。イーサリアムはセキュリティと非中央集権性を重視し、EOSはスケーラビリティとセキュリティを選択しました。

 この2つのプロジェクトは両極端にありますが、実はこの3点のバランスこそが最も重要だと考えています。したがって、我々のブロックチェーンの設計哲学ともいうべきものは、非中央集権化を確実に実現することに重点を置きつつも、スケーラビリティとセキュリティのバランスを重視するということです。

 コンセンサスアルゴリズム「PoB(Proof of Believability)」や、スマートコントラクトの仮想マシンを開発し、独自のエコシステムを構築しようとしているのも、この理念を実現し、エンジニアやコミュニティ参加者が親しみやすいブロックチェーンを提供したいと考えているからです。

――どのような人たちが運営しているか。

我々のプロジェクトは2017年に始まりました。開発チームの大部分は中国にいますが、その他にも日本や韓国、シンガポール、ドイツ、アメリカに拠点があります。そういった意味では、ブロックチェーンと同様、分散化されたチームと言えるかもしれません。人数は約90人です。創業者はほとんどが技術畑の出身ですので、我々のブロックチェーンも“エンジニアファースト”を心掛けて開発してきた面があります。

――開発で最も苦労したことは。

実はブロックチェーン自体、多くの問題を抱えている技術です。したがって、開発のどの段階を切り取っても、苦労は絶えませんでした。コンセンサスアルゴリズムにしても、仮想マシンにしても、エコシステムの設計にしても、コミュニティの構築にしても…どれか一つを挙げることはできません。ブロックチェーンが完成された技術であれば、もっと答えやすかったかもしれませんが…

――日本では精力的にミートアップを行っているが、日本の市場をどのように見ているか。

日本ではブロックチェーン業界に対して比較的強い規制がかかっていますが、その普及程度は高いように感じています。私は多くの国を訪れていますが、日本のようにビットコインなどの広告が街中に大きく掲げられているような国はありません。これは非常に興味深いことで、我々は日本を世界のトップ3に入る重要な市場だと見ています。

また、我々は日本での展開をとても重視しています。まず私自身、日本が大好きですし、何より日本のエンジニアの質は非常に高い。我々はすでに、日本のあるブロックチェーン技術会社と協力し、IOSTのプラットフォーム上でDAppsをつくるプロジェクトを進めていますが、彼らの熱心で真面目な仕事ぶりにはいつも感動を覚えます。実は、これはとても得難いことで、我々が日本での発展に力を入れる大きな理由の一つです。

――具体的にはどのように展開していくか。他プラットフォームとの差別化は。

冒頭申し上げたように、我々が最も重視しているのは、プラットフォームの非中央集権性です。これを実現するには、IOSTに参加するノードの数を増やしていかなければいけません。

IOSTは、さまざまな形でノードとして参加することができます。ビットコインには約1万6000のノードがあり、イーサリアムにも同等のノードがあると認識しています。ノードの数は非中央主権化の肝になってくる部分です。ちなみに、EOSの主要ノードは21しかありません。

我々の設計では、IOSTには1万近くのノードが参加可能であり、ビットコインと同様、高いレベルで非中央集権化を実現できると言えます。POBのコンセンサスアルゴリズムに基づいて、ブロックの生成などを行う主要ノードはコミュニティ内の投票で選ばれますが、EOSなどと違いその数には上限がありません。これは、より多くのトークンを保有した裕福な人のみが意思決定を行うプラットフォームからの脱却を意味しています。誰もが参加できる非中央集権化されたプラットフォームがIOSTなのです。

また、IOSTではより多くのエンジニアに我々のブロックチェーンを使ってもらうため「開発者報奨金プログラム」を用意しています。我々のプラットフォーム上でDAppsなどを開発して“プラットフォームに貢献する”ことで、報奨金としてトークンを付与する仕組みです。また、エンジニアファーストの設計理念から、スマートコントラクトの開発言語はJavaScriptを採用しています。

――中国の規制の現状について。

中国はこれまで、ブロックチェーン技術そのものに対しては奨励する態度をとっています。しかし、トークンを発行するなど金融的な性質を持つ場合、つまり「金融市場に混乱を招くリスクがある場合」は、規制当局は厳しく対処します。したがって、中国国内ではブロックチェーン技術に関する研究・開発等は認められていますが、ICOといった行為は禁止されています。

――この規制はいつまでも続くと考えるか。

続くと思います。中国は金融リスクを招くようなものを特に敏感に規制しています。したがって今後、中国ではブロックチェーン技術に関する研究、開発、社会実装が活発になっていくでしょう。

例えば、中国には仮想通貨取引所がありません。中国人が運営する取引所はたくさんありますが、法人はすべて中国国外にあります。しかし、ブロックチェーン技術に関する企業は登記することができます。また、ウォレットやクラウドファンディングのプラットフォームも、中国では少しづつ減少していくか、海外に法人を移転する方式をとることでしょう。

以前、中国におけるブロックチェーン業界はグレーな部分が多く、規制も多くありませんでした。しかし、最近もブロックチェーンに関する政策が発表されたように、規制は今後、さらに明確になっていくと思われます。個人的に、これは良いことだと思います。なぜなら、規制が明確になるほどブロックチェーンが合法化され、法の範囲内で事業を行うことができるようになるからです。

――2019年はブロックチェーンにとってどのような年になると考えるか。

個人的な見解にはなりますが、まず第1に、ブロックチェーンのさらに具体的なユースケースが登場し、これまでブロックチェーンと関わりがなかった企業も、徐々にブロックチェーンを受け入れ始めると考えられます。これまで、ブロックチェーンのユースケースはゲームが非常に多かったのですが、これはインターネットの黎明期とよく似ています。今後はこれが徐々に変化し、投機性の高いユースケースは減少し、持続的な発展が可能で、ユーザーに真の意味で価値をもたらすユースケースが増えてくるでしょう。

第2に、ブロックチェーンに関わる一種の実態のない、怪しいような企業は淘汰され、ブロックチェーンに対して誠実で、正しい認識を持った企業が生き残るでしょう。

第3に、ブロックチェーンに関わる人材やそれを受け入れる人々がさらに増えていくと信じています。2019年の世界の金融市場は好調とはいかないでしょう。このことが、ブロックチェーンの発展を後押しすると思います。

――ブロックチェーンに関わる人材が増えていくということだが、中国ではどのように人材育成しているのか。

これは主に大学が中心となって行っています。現在、多くの大学でカリキュラムが組まれています。世界的に見れば、アメリカの大学が最も早くブロックチェーン関連の講座を始め、私の母校であるプリンストン大学(米ニュージャージー州)も、すでに5年になります。中国の大学はここ数年で始まったばかりですが、将来はさらに増えていくと思います。

また、これに伴って、実は我々も実施しているのですが、オンラインのカリキュラムコースも増えてくるでしょう。

エンジニアの増加はブロックチェーンの発展にとって欠かせない一つの要素ですが、教育の進展にともなって、さらに優秀なエンジニアがこの業界に入ってくることを願っています。

――ご自身はどうやってブロックチェーンを勉強したのか。

ブロックチェーンはコンピュータ科学の領域です。私の大学の専門はコンピュータ科学ですので、ブロックチェーンのことは早くから聞いていましたし、周囲の人間もブロックチェーンのことをよく話していました。プリンストン大学内にもブロックチェーンに関する講義が当時すでにあったので、ブロックチェーンに接する機会は早かったと思います。

また、座学以外にも仲間内でマイニングをしたり、プロトコルを作ったりしたこともありました。

――一般のユーザーにとってブロックチェーンはなかなか理解しにくい面もある。実感としてブロックチェーンの利便性を理解するには、どのぐらいの時間が必要と考えるか。

そうですね。受け入れがたいとまでは言わないまでも、技術的に理解することが難しく、敷居が高いといえるかもしれません。

また、利便性の実感ということで言えば、かなり長い時間を必要とするでしょう。インターネットも長い時を経て徐々に発展し、人々に現在の利便性をもたらしました。そういう意味では、現在はブロックチェーンの草創期で、基礎を作っている段階だといえます。一般のユーザーの生活に大きな変化をもらたすようなユースケースの登場には、まだ時間と蓄積が必要です。質的変化が量的変化をもたらすような段階にないことは確かです。

――最後にメインネット公開に向けた決意を。

とても興奮しています。かなりの時間を研究開発に費やし、やっとメインネットのローンチにこぎつけることができました。我々には他のブロックチェーンプラットフォームと違うことをしているという自負があります。IOSTのプラットフォームは、ブロックチェーンの最も重要な性質である非中央集権性を限りなく実現しています。ノードとしてコミュニティに参加する敷居は非常に低く、ノードはこのプラットフォームに様々な形で貢献すれば、相応の報酬を得ることができます。日本でも多くの人に我々のコミュニティに参加していただき、我々のブロックチェーンの優位性を知っていただきたいと思っています。

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