ブロックチェーンで国内初のネット投票!つくば市にインタビュー

茨城県つくば市で先ごろ、ブロックチェーンを活用したネット投票の実証実験が行われました。同市によると、こうした取り組みは国内初!ということで、ChainAge編集部は、同市の科学技術振興課にインタビューしてきました!

コスト削減に大きな効果

――今回の実証実験の概要を教えてください。

つくば市では、「つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」というAIやIoT、ロボットなど、近未来の技術を使った社会実装を目指す事業を支援する取り組みを実施しています。その中で、支援する取り組みを決める選考作業の1つとして、「ブロックチェーンを活用したネット投票システムによる審査」を導入しました。

 

本年度は、22件の応募の中から書類審査を通過した13件が最終審査に残りました。審査方法は、審査員が提案者から概要のプレゼンテーションを聞き、採択者を決めるのが基本ですが、今回は審査員による審査に加えて、一般審査という形で市民も審査にかかわってもらえるようブロックチェーンを活用したネット投票を行ったというのが全体の概要です。ネット投票に参加したのは、市民や市職員など119人です。

――ネット投票は実際に、どのように行うのでしょうか。

まず、市役所などの投票所に設置されたカードリーダーにマイナンバーカードをセットして認証画面に進み、電子証明書の署名用パスワードを入力することで本人確認を行います。次に投票画面に進み、事業提案を選択して投票します。

 

マイナンバーカードの情報を読み取ることで「投票権がある」ということを証明し、電子証明書の署名用パスワードを入力することで「本人である」ことを確認しています。

ネット投票を行う五十嵐市長(中央、写真は市提供)

――簡単そうですね。

非常に簡単で、即座に投票を済ませることができました。これは一般の投票と比べての場合なのですが、おそらくどの市町村で行う選挙人名簿の選挙も、ハガキなどで送られた選挙券を持って行って、受付に提示をして、ページをめくりながら照合をして…という形で本人確認をするというのが一般的だと思います。

 

しかし、このシステムはカードリーダーにマイナンバーカードをかざすだけで本人認証がすぐにできます。投票記載台にわざわざ移動して記載をしなくても、タッチパネル式の1つの操作で投票が完了してしまいますので、かなりの時間が短縮されます。

 

さらに、普通であれば、何十人、何百人という職員が票の集計作業をするのですが、電子投票ですから、投票した時点で集計されています。コスト削減効果は大きいと思います。

――そのような効果は、これまで検討されてきたネット投票でも期待されていたところだと思いますが、ブロックチェーンを組み合わせることによるメリットについては、どう考えますか。

まず、データの改ざんが極めて困難という点でしょうか。システムの提供元であるVOTE FOR社によると、今回のシステムでは、投票者情報と投票内容を別々のサーバで管理し、投票内容をブロックチェーン技術によって処理しています。これによって、投票の秘密性を担保しつつ、投票データの改ざんや消失を防止しており、たとえシステム管理者であったとしも投票者情報と投票内容を紐づけることはできない仕様となっています。

マイナンバーカードの普及率が課題に

インタビューに答える科学技術振興課の岡野課長(中央)と前島係長(右隣)

――導入に向けた課題についてはどう考えますか。

仮に、今回のシステムを実際の選挙に導入するとなった場合、一番の課題はマイナンバーカードの普及率の低さです。今回は、マイナンバーカードで簡単に個人認証ができるというところまではハッキリと試すことができましたが、あまりにも持っている人が少ないということになると、一部の限られた人に向けたシステムになってしまいます。

――つくば市の普及率はどれぐらいなのでしょうか。

約13%です。

――想像よりかなり低くて驚きです。

人数としては約3万2000人ということになります。全国的にも似たようなものだと思います。

――秘密鍵と公開鍵を用いた電子署名を活用するなど、本人確認にマイナンバーカードを使わないモデルについての検討はあったのでしょうか?

実は、当初はそういう想定で始まっていました。マイナンバーカードを使うという想定は最初、無かったんですよ。

――そうなのですか。マイナンバーカードを使用するモデルを採用した理由は何でしょうか。

実際の選挙のモデルにより近づくというのが大きな理由です。

――つまり、市民がより受け入れやすいと?

それだけではなくて、例えば選挙のときは投票所に投票用紙を持っていって、本人認証をするのですが、いつからいつまでは、どこに住民記録があったかとか、投票権の有無を正しく証明するには住民記録のデータが紐付いてないと実現できないのです。

 

つまり、投票ということについて言えば、マイナンバーカードを活用した「公的個人認証」というところが加わると、実際の投票に非常に近いモデルになるのではないかという話になりました。二次的な狙いですが、マイナンバーカードのPRにもなると考えました。

ブロックチェーン理解に時間必要

――そもそも、どうしてブロックチェーンに注目されたのでしょうか。

昨年の「トライアル支援事業」で、VOTE FOR社からブロックチェーン技術を活用した事業の提案があったのがきっかけです。残念ながら採択には至りませんでしたが、私どもも、ブロックチェーンについては様々な可能性を秘めた、大変に有用な技術だと感じていました。

 

そこで今回は、市が実証実験の場を提供する形で協力することとなり、なんとか形にできたという感じです。また、五十嵐立青(いがらし・たつお)市長のネット投票を是非実現したいということで、そういったことも後押しになりました。

――ブロックチェーンと聞くと、なんとなく「うさんくさい」と感じる人が多いのもまた現実かと思いますが…

「世の中は変化しない」という前提でいらっしゃるのであれば、確かに混乱することはあるかと思います。大事なことは、その利便性をしっかりと周知していくことだろうと思います。

 

例えば、我々は日常的にスマートフォンを使用していますが、そこにリスクが全く存在しないかというとそうではない。では、なぜ使用しているかというと、それはその利便性に価値を見出しているわけです。マイナンバーカードにしても、ブロックチェーンにしても、時間をかけてじっくりと理解を得ていくことが必要だろうと思います。

――利便性は今回の実証実験で確認されたところだろうと思いますが、今後、本格的に導入する予定はありますか。

 行政が直接的にそれを本格導入というところでは、まだ具体的にはなっていないというのが正直なところです。ただ、今回のような実証実験がヒントになって、「これならうちでもできるかもね」とか、「ここはもっと改善できるね」というような議論が広まり、本格導入のきっかけになっていけば、市としても嬉しいところです。

 

実際、今回の投票システムに関しても、他の自治体から「ちょっとやってみたい」という話がありました。具体的には、東京都三鷹市、東京都大田区、千葉県船橋市、茨城県五霞町です。すでにVOTE FOR社と連携していただいて、実際に投票システムを試してもらっています。

 

つくば市は「世界のあしたが見えるまち」を標ぼうしており、そういった意味でも、さまざまな先進的な事業を後押しし、その実証実験なりの結果を市民はもとより国内外に伝えていきたいと考えています。


いかがでしたでしょうか?つくば市の取り組みが全国に波及し、もっと便利な世の中になればいいですね。取材に協力していただいた職員の方々ありがとうございました!

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